膠原病の一種である強皮症の合併症である間質性肺炎と予後について
「予後」という言葉は、普段あまり聞きなれない言葉なのですが、今後の病状についての医学的な見通しのことです。
病気の進行具合や治療の効果、生存確率など、すべてを含めたその病気の見通しを意味する言葉が「予後」となります。
ここでは、膠原病の一種である強皮症を発症した患者さんの予後についてご紹介します。
膠原病とは、単独の病気ではなく、関節リウマチや強皮症など、いくつかの病気からなる病気グループの総称となります。
そして、膠原病は、特定の臓器にではなく、血管を含む結合組織に異常が起きる病気となります。
そのほかには、関節痛を伴い、自己免疫疾患であるということが、膠原病の三大特徴となります。
膠原病の中の強皮症は、細胞と細胞を結びつけている膠原線維が異常に増えることが原因で、皮膚が硬くなっていく病気です。
発症後の予後については、ほかの膠原病と同様にはっきりとした原因がわかっていませんので、治療の目的は症状の軽快と悪化防止となります。
強皮症の患者さんには、特有の抗核抗体が見られるということは解明されていますので、なんらかの免疫異常が発症に関与していることはわかっています。
膠原病の一種である強皮症の病変は、内臓にも及びます。
内臓の病変で特に注意が必要なのが、肺の線維化となります。
線維化してしまうと肺は機能低下してしまい、呼吸困難を引き起すという予後をたどります。
肺が線維化する前には、肺の細胞や細胞を支える組織に炎症が起こることがあります。
これを間質性肺炎といいます。
間質性肺炎は、膠原病の合併症としてよく現われるものであり、強皮症の場合には、肺の線維化の前に間質性肺炎を引き起こすケースが非常に多くなっています。
肺の線維化の前に起きた間質性肺炎の予後については、治療効果を期待することができるのですが、間質性肺炎の症状が出ないまま肺の線維化が進むケースの場合には、予後が非常に厄介となります。
現段階では、線維化を防いだり解消するための特効薬が存在していないからです。
間質性肺炎は、普通の肺炎とは異なる経過をたどります。
乾いた咳と息切れが間質性肺炎の特徴的な症状であり、通常であれば徐々に進行していくのですが、感染症などをきっかけに急激に症状が悪化する場合もあります。
そして、間質性肺炎の原因として膠原病肺という分類が存在しています。
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