膠原病の患者さんは、生存率を高めるために間質性肺炎に注意が必要
膠原病は、現在の医学では根治療法が確立されておらず、いわゆる難病と呼ばれる病気となります。
根治療法は確立していませんが、医学の進歩によって生存率は大きく改善されました。
膠原病のひとつである全身性エリテマトーデスの治療には、ステロイド薬が非常に効果を発揮します。
ステロイド薬が治療に使用される前は、全身性エリテマトーデスの患者さんの3年生存率は50%以下でした。
しかし、現在では、発症後の5年生存率は90%以上であり、飛躍的に生存率は高くなっています。
膠原病の患者さんは、生存率を高めるために間質性肺炎に気をつける必要があります。
間質性肺炎についての正しい知識を学習し、少しでも兆候が見られた場合には、早急に主治医に相談するようにすることが、生存率をアップさせる有効な方法となります。
間質性肺炎が慢性化した場合には、徐々に悪化の予後をたどり、10年以上の生存率は低くなります。
膠原病によって引き起こされる間質性肺炎は、膠原病肺と呼ばれています。
間質性肺炎は、診察時に胸に聴診器をあてると、「ベルクラ音」と呼ばれる特有の音が聞こえます。
ベルクラ音とは、マジックテープを剥がす時の音に似た音となります。
膠原病は、単独の病気ではなく、いくつかの病気からなる病気グループの総称となります。
そして、膠原病のひとつ強皮症の患者さんは、特に間質性肺炎に気をつける必要があります。
肺の細胞では、酸素と二酸化炭素のガス交換が24時間・365日行なわれています。
この細胞や細胞を支える組織に炎症が起こることがあり、その状態を間質性肺炎といいます。
間質性肺炎は、膠原病の合併症として起こることが少なくありません。
強皮症は、内臓の病変を伴うのですが、内臓の病変で特に気をつけなければいけないのが肺の線維化です。
肺が線維化した場合には、肺の機能低下を引き起こしてしまい、その結果、呼吸困難を引き起こしてしまうからです。
強皮症の場合、肺の線維化の前に間質性肺炎が起こることが多いという傾向があり、この段階では治療効果を期待することができます。
つまり、膠原病肺の段階では生存率はそれほど低くならないということです。
現段階では、線維化を防いだり解消する特効薬は存在していません。
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